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特 別 寄 稿 |
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『コロレンコのゴーリキー宛て書簡』 村 野 克 明・訳
作家ヴラジーミル・コロレンコ(1853.7.27-1921.12.25)――父はウクライ
ナ人、母はポー ランド人だが、息子の本人は生涯ロシア語で執筆した。 1917
年ロシア革命以後の内戦期にはウクライナ北東部のポルタワ市にあって、目ま
ぐるしく変る市政権下で多くの人権侵害に抗議し、不当に拘留された人々の救
助に奔走し、裁判なき銃殺刑に抗議の声を挙げ続けた。本稿はコロレンコ最晩
年のゴーリキー(1868-1936)宛て書簡の翻訳である。 |
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『チビ太の夏』 吉 澤 稔 雄
五月も末近いある晩、いつものように勤めから帰ってきて一風呂浴び、一階の
南側の庭に面した部屋で一杯やっていると、いきなりドンと硝子窓を叩く音が
した。見ると、見慣れぬ猫が硝子戸に両の前脚を掛け、部屋の中を覗き込んで
いた。目と目が合うと、可愛らしい媚びるような声で一声、ミャーと鳴いた。
……この野良猫チビ太は、その後毎朝毎晩餌を貰いに我が家に通って来るよう
になった。そうこうするうちにチビ太に情も湧いてきて、これを保護して家猫
にしようと努めるのだが……。野良猫チビ太をめぐる騒動の顛末記。 |
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『英語とエリザベス女王と私』 天 道 公 平
小学校3年生のときに読んだ『ドリトル先生』シリーズに触発されて言語とい
うものに興味を抱いた少年は、その後独学で英語を学び始めた。中学校に入っ
て英語の授業が始まったが、学習内容は既知のことばかり。退屈な授業に飽き
足らず、実際に英語を使ってみたいと思っていたところ、ある日テレビでエリ
ザベス女王のクリスマス・スピーチを聴いた。それに感動して、少年はエリザ
ベス女王に手紙を書くことを思いつき、実行に移したのだが……。イギリス王
室や大使館の対応は実に興味深い。英語をめぐる著者の少年時代のエピソード。 |
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『遥かなる波路 ――巖谷小波・〈金色夜叉〉をめぐって――』 吉 澤 稔 男
明治中期から大正・昭和にかけて活躍し、我が国の児童文学の先駆者として知
られる巖谷小波。彼は硯友社に最年少のメンバーとして加わり、尾崎紅葉らと
親交を深め、文士としての道を歩んだ。その紅葉との関係から、『金色夜叉』
の主人公間寛一のモデルが実は巖谷小波その人だったと言われている。本稿は
そんな若き日の小波の愛と葛藤をめぐり、その人物像に迫ることを試みた評伝
である。これまで雑誌「せせらぎ」に3回に分けて連載されたものを、ここに
1本にまとめて発表させていただくことにした次第である。
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『五番目のБ〔ベー〕』 ドミートリー・ブイコフ著 村 野 克 明・訳
現代ロシアの詩人ブィコフの論文を、ロシア語から訳しました。出典はニーナ
・ベルベーロワ『アレクサンドル・ブロークとその時代 伝記』(モスクワ、
2015年刊、256頁。フランス語から露訳)です。
この本の巻頭に、ブィコフのこの論文が掲げられました。ブローク(1880~
1921)、ベルベーロワ(1901~1993)、ブィコフ(1967~)というロシア
三詩人の「三重奏」です。 |
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